セットカウント0-1からの挽回劇
✔アルカラス2-6,6-2,6-3,7-5ジョコビッチ
どちらが勝っても歴史的な試合となる決勝戦だった。全豪オープン2026決勝、アルカラスvsジョコビッチ。アルカラスは史上最年少での生涯グランドスラム、ジョコビッチはグランドスラム最多25勝が懸かっていた。
第一セット、信じられない内容でジョコビッチが奪取した。これまで見たことないような積極的な攻めと憎らしいほどの安定感を兼ね備えた守り。それを世界一のアルカラス相手に決勝の舞台で引き出す。この男の全盛期は今なのではないかと思わせるほどの内容でアルカラスを圧倒した。もしかしてこのまま一気に勝ってしまうのではないかと身震いしたテニスファンも少なくないだろう。ただ、対峙していた22歳の新王者は易々と勝利を献上することを許さなかった。第二セット中盤以降、アルカラスが徐々にジョコビッチの攻めに適応していく。第一セットでは返球できなかったコース、球種、タイミングの球をことごとく返せる状態へ変化していった。さらに第三セット中盤に入り、強みである圧倒的な攻撃力を見せ始める。第二第三セットをアルカラスが奪取。王者の実力を見せつけ挽回した。第四セット、調子に乗り切ったアルカラスに対し、ジョコビッチは10分越えのサービスゲーム含め、苦労しつつもキープしついていく展開。この展開、決勝戦に至るまでのジョコビッチのプレーからこう考えたテニスファンも多かったのではないだろうか、
「どこでジョコビッチがギアを上げブレークをしにくるか」
準決勝のシナー戦で見せた試合全体を通したゲームの取捨選択。捨てるゲームは捨て、ここぞという場面で全力でゲームを取りに行く。勝つための、試合全体を通しての集中力のマネジメントスキルとでもいうべき能力。ジョコビッチのジョコビッチたる所以がこの能力なのではないかと思う。当然、これまでの経験がなせる業かと思うが、アルカラス、シナー含め、全プレイヤーにとって圧倒的な脅威であることは疑いようがないだろう。第四セット第8ゲーム0-30からジョコビッチがキープし4-4となった場面。ジョコビッチのエネルギーが一気にあがったように見えた。第9ゲーム30-30の場面で鋭いリターンを沈めアルカラスのミスを誘発。ブレークのチャンスを握る。雄たけびを上げ、観客をあおる。ここをブレークすればサービングフォーザセットを迎えられる場面。ただアルカラスは冷静だった。自分の攻め、守りを貫き、最後は雄たけびを上げながらこのゲームをキープして見せた。
メンタルの攻防戦の極致ともいうべきこの第四セットは、第12ゲームのアルカラスのブレークで一気に幕を閉じた。第12ゲームでブレークポイントを握ったアルカラス。最後はジョコビッチのフォアの逆クロスがベースラインを大きくオーバー。アルカラスがコートに倒れこみ戴冠を手にした喜びを爆発させた。
アルカラスは劣勢の展開から徐々にアジャストし最後はギアを上げ切って勝利。アルカラスの王者としての成熟を感じさせる決勝戦だった。一方のジョコビッチはキャリアの終盤ではあるが、これまでの経験を強みに2強への新たな勝ちパターンを模索し続けているように見える。2026シーズンもジョコビッチは圧倒的な存在感を放つプレーヤーであり続けるだろう。
コメント